阿部亮平を補うのは佐久間大介で、佐久間大介を補うのは阿部亮平だという話

 

 

 

補色、という言葉はご存知だろうか。

 

 

有彩色をグラデーションにして並べた円環図、色相環を誰もが美術の教科書で見たことがあるだろうと思う。

 

色相環で反対側にある色、それを補色と呼ぶ。

そしてさらに説明を付け加えると、補色同士の色の組み合わせは、他の色よりも最も互いを鮮やかに引き立てる相乗効果を生み出す。

 

さあ今から私は恐ろしいことをここに書き残す。

気づいてしまった。この世の真理にたどり着いてしまった私は、もしかしたら近いうちに国に消されるのかもしれない。このブログがこの記事以降更新されなかったら、それはつまりそういうことだ。いいか。

 

 

 

 

 

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緑の補色は、ピンクだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

息はしているか。

息は切らしてもどうか気持ちは切らさないでほしい。追い討ちをかけるようですまないが、ピンクの補色もまた緑なのだ。(あたりまえ体操)

 

こんなに美しい運命の悪戯があるか。

ここで、2人の男の名前が頭に浮かんだ人はみんな友達だ。手を取り合いグラスを掲げ、共に語らいたい。

 

Snow Manにおけるカップリング最大手ゆり組と唯一肩を並べると言っても過言ではない

阿部亮平(27)と佐久間大介(28)

通称“あべさく”とファンから親しまれるこの2人。

 

学年はひとつ違い。白い肌と褐色の肌。黒髪と金髪、右脳派と左脳派、夏生まれと冬生まれ、ステージの上手と下手、ボケとツッコミ、慎重と大胆。そしてメンバーカラーの緑とピンク。

178cmと168cmという見た目の凸凹さもあべさく“らしさ”を加速させる。

淡々と重ねられていく対比。いくつもの“正反対”が心地よく連鎖してゆく。

 

共通点ゼロの両想い、とは誰が言ったか。

 

そう、2人は相手の事をわかりやすいほどに思っている。両想いというワードが字面通りに機能しているのが、この2人だ。

 

 

ねぇ、阿部ちゃんがなんで緑が好きになったか知ってる?

阿部ちゃんの弟が青が好きになったから、兄弟でケンカにならないように青を譲って、自分が緑を選ぶうちに緑が好きになったんだよー

 

そう私たちには教えながら、佐久間大介はまだ小さかった頃の彼が諦めたとも言える青色のナフキンで、今の彼が選んだ緑色の弁当箱を包んでみせるのだ。

 

このエピソードに呼応するのが、それスノ#27未公開シーン集で語られた佐久間くんのメンバーカラーのエピソードだと思う。

 

 

その時はあんまりピンクが好きじゃなかったんで

変われるかなと思って、ピンクを選びました。

 

ため息がでる。どうして彼らは、素直じゃない。

それでも好きじゃない(好きじゃなかった)色、選んだ色同士があべさくの補色同士なのには、まるで彼らが互いを自然に手繰り寄せたかのような印象を受ける。

ゆり組が運命に導かれ天に選ばれたシンメなら、あべさくは運命を手繰り寄せ、自らが選んだシンメだ。

 

 

 

 

さて、「元気」が人の形を象りその場で飛び跳ねている。Snow Man1エネルギッシュな小さな巨人

今の佐久間大介ができあがった話を少ししよう。

 

すげー俺引っ込み思案で、恥ずかしがり屋で

人の顔ばっか見てるような子だった。

だから自分から連絡先交換とかできなかったんだよ。

でも初めて連絡先交換して、電話きた人がいて

それが阿部ちゃんなの。

 

引っ込み思案で、うまく周りに溶け込めない。学校?楽しくない。踊ってる時しか、自分のことを上手く表現できない。だから踊るのが好きだった。今の笑顔全開、ポジティブモンスターのような彼からは想像もつかない。痛いほどに“一人”だった過去を佐久間くんは時々笑って話す。彼が世界と繋がりたいと願うようになったのは、何がきっかけだったんだろう。その疑問の答えをはじめて語ってくれたのがそれスノ#21のキャンプファイヤーだった。

 

当時の俺からしたら相当うれしかった。

そっからいろんな人と連絡先交換したり、話すようになっていって。だんだん(人間関係が)広まっていって。

 

まだ幼かった13歳の佐久間大介に、初めて人と繋がる喜びを教えたのが年下の阿部亮平だったのだ。

 

佐久間くんが15年越しのありがとうを伝えて、今の彼が出来上がった物語は完結する

 

かと思いきや。感謝はここで終わらない。

 

 

俺の認識は真逆。

 

俺のほうがどっちかというとネガティブというか。

佐久間と一緒に過ごしてたおかげでポジティブに引っ張られた自分がいて

そこにはすごく感謝してる。

 

感謝に感謝が返ってくるのが、あべさくの良さである。しかもお互いの知らないところで、というのがまたたまらない。

阿部ちゃんにもらったものを大事に抱えて、大きくなった佐久間くん。知らないうちに、自分のおかげで変わっていった彼に、今度は自分の方が感化され、影響を受けたことにまた感謝を返す阿部ちゃん。互いが相手の打つ音にこれでもかというほど鳴っている。人生を通して、共鳴している。

一方通行じゃない。呼びかけたら、返ってくる。影響しあい、共鳴する。2人の間に鳴っているのは、どこまでも透明で優しい響きだ。

 

 

余談だが、私はハロー!プロジェクトが好きで、その中でもモーニング娘。が好きだ。彼女たちは卒業加入を繰り返し、形を変えながらも日々切磋琢磨している。側から見ても関係は良好で、すっかり気を許した様子やじゃれあう姿は微笑ましいのだが、彼女たちの多くが戦友にはなれても、きっと親友にはなれないこと、本人たちもファンもなんとなく気づいている気がする。家族よりも多くの時間を過ごして深まるのは、友達としての仲ではなく、仲間としての絆であり信頼だ。

アイドルグループとはそういうものだと、ずっと思っていた。

 

 

そんな私の偏見を、あべさくはなんと軽やかに越えていくのだろう。

私の最も愛するあべさくエピソードが「2人のハワイ旅行」だ。

 

2人でハワイに行った、ベッドが一個しかなくて一緒に寝た、地上の楽園と呼ばれる場所で、なぜか阿部ちゃんの母親がほしいといったスーパーフードを求めて、2人で自転車を漕ぎ山を越えた。

 

永遠に色褪せないお守りのような思い出だ。地震の時に持って逃げる宝箱に入れてしまっておきたい。

 

佐久間くんが下りの坂道で前輪だけブレーキをかけ、自転車ごと一回転した、という後から聞けば笑える話も、そうまでして必死に買いに行ったのに数ヶ月後には近所のスーパーで売られ始めた……という文句なしのオチまで完璧だ。完璧すぎて嘘みたいだ。なんだ、漫画か。コロコロコミックに載ってそうだな。だてあべは映画であべさくは漫画なのか。

 

この間抜けさと愛しさ、全力と無意味がぎゅうぎゅうに詰まった夢のようで確かにあった2人だけの冒険を、青春と呼ばずしてなんと呼ぶ。このエピソードを本人らの口から聞くことができた、今の時代に生きる私たちは既に幸福なのだ。

 

 

最後に言っておくと、あべさくの二人は正反対であっても、決して“全くの別物”ではない。

離れているほどにコントラストを強くする。

互いといることで自身が際立ち、さらに相手をより鮮やかに映しだす、補色のように。気づいていても気づいていなくても、勝手に共鳴してしまう。

 

この世で最もアンバランスなバランスを保つ2人組。

今までも、これからも。

阿部亮平を補うのは佐久間大介であり、佐久間大介を補うのもまた、阿部亮平なのである。